2010年05月29日

ニホンカモシカの謎

 ニホンカモシカは、特別天然記念物です。パンダに負けないくらい珍しい動物なんです。中国では、友好の印にパンダをプレゼントしたりしますが、日本では、ニホンカモシカをプレゼントします。北京、ベルリン、サンディエゴなどの動物園に、友好記念に贈られています。つまり、中国のパンダに匹敵しているのが、ニホンカモシカなんですね。それほど珍しい動物で、特別天然記念物にも指定されています。

 ところで、ニホンカモシカが動物園などの施設で、本格的に飼育・繁殖等を研究され始めたのは戦後になってからでした。戦前においては、繁殖も成功例はなく、動物園もサジをなげている状態でした。

 しかし、第二次大戦のために全国各地の動物園は、動物たちを失ってしまい、もう一度、動物を収集することになると、にわかにニホンカモシカが注目されてきたのです。  ニホンカモシカは欧米の動物園ではとても珍重される動物で、入手を希望する国が多いことから、ニホンカモシカの飼育繁殖に成功すれば、それと交換することによって、多くの貴重な動物を手に入れる可能性がでてきたから、ニホンカモシカの研究は大変重要なポイントをしめるようになりました。

しかし、人間がカモシカを飼育するというのはとても難しいことでした。
 ストレスに弱い動物だったからです。

 捕獲して動物園までの輸送中に死んでしまうことが多く、動物園に着いても、人の与える餌に馴染もうとしません。若いニホンカモシカでなんとか餌付けに成功しても、人間の飼育下にあるというストレスから消化器系の故障をきたして死んでしまったり、こどもにしても環境の変化に対応できないストレスで抵抗力が衰えて肺炎をおこしやすく、すぐ死んでしまいます。

 昭和38年3月、文化財保護委員会、林野庁、全国の動物園や博物館の代表者が集まって「特別天然記念物カモシカの保護についての打ち合わせ会」(のちの「カモシカ会議」の発端)が催されます。この会議で、全国の動物園・博物館が協力して共同捕獲・共同飼育を行い増殖をはかることになり、

 三重県御在所岳の日本カモシカセンター
 大町山岳博物館、
 立山風土記が丘カモシカ園、
 京都市動物園、
 神戸市立王子動物園

の5ヶ所で飼育実験が実行されることになりました。

 そして、昭和40年にはじめてニホンカモシカの飼育下での繁殖は成功したのです。ただし、海外の動物園に輸出するまでにいたっていません。ストレスに弱いために、移動の困難からなかなか実現できないようです。  これは国際的にも珍しい事例ですが、外交の際の友好の証としてのみやりとりされ、日本国の代表として活躍する動物なんですね。つまり、ジャイアントパンダと同じくらいに貴重な動物なんです。いや、それ以上なんです。海外の動物園での希少価値は、パンダ以上であると言っても過言ではありません。
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2009年12月18日

資源防衛型

ニホンカモシカ

 多くの偶蹄類はなわばりをもちますが、生息環境の違いによって防衛する対象が違い、大きく二つのタイプに分けることができます。一つは森林やブッシュでみられる資源防衛型であり、もう一つは草原のような開けた環境でみられる配偶者防衛型です。日本の特別天然記念物ニホンカモシカは資源防衛型の一つの典型です。

 森林のような密な環境に生息する種は、単独で生活するものが多いです。このような環境では捕食者から隠れるために、群れでいるよりも単独で生活するほうが都合がよいからです。

 また、森林は草食獣にとって食物がほぼ均一に分布し、非常に安定した環境です。このため、1頭がせまい範囲をなわばりとして防衛することで、一年を通して生活に必要な資源をすべて得ることが可能です。したがって、森林では各個体が生活範囲すべてをなわばりとして守る資源防衛型が発達します。

 これに対して草原のような開けた環境では、より早く捕食者を発見するためには、複数の個体が集まって警戒するほうが有利です。このような環境では雄と雌が別々に群れをつくることが多く、強い雄が雌の群れを独占する配偶者防衛型が発達します。雄は交尾期に他の雄を追い払って雌の群れを独占するか、交尾のためのなわばりをもち、この中に雌の群れを囲い込み、一夫多妻を形成するものが多いです。
posted by ss at 15:34| カモシカ・かもしか百科 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月24日

カモシカ

ニホンカモシカをウオッチングしよう。

 ニホンカモシカは、鹿ではありません。
 ニホンカモシカは、牛の仲間です。
 鹿ではなくて、牛なんです。

 ヤギなんかも牛の仲間ですが、ヤギ・牛・カモシカは、種としては、親戚同士なんですね。そして、ニホンカモシカは本家にあたりまして、まあ牛科動物の御先祖様にあたります。つまり、一番古い牛科動物なんですね。最初にカモシカが登場し、ヤギなんかがあらわれ、最後に牛たちに進化し、カモシカたちはしだいに姿を消していったわけです。それだけにカモシカには、古代から変化しない原始的な形質をそのままにしているという特徴があります。

 例えば、反芻(はんすう)について。反芻とは、4つの胃袋を使って、エサを徹底的に分解消化する機能のことですが、牛やニホンカモシカたちは、第一胃袋にエサを入れ、それを口に戻して、もう一度かみ直し、また第一胃袋に戻すといったことをするわけです。こうやってエサを消化するわけですが、カモシカたちは一番古い牛科動物であめるために、牛やヤギに較べて4つの胃袋が小さいんです。だから、牛たちに較べると、どうしても不利なんです。そして、その小さい胃袋は、ちょっとしたストレスで、すぐに機能が停止してしまう。現代人みたいに神経質でストレスに弱いんですね。

 だから北軽井沢付近の国立公園で、ニホンカモシカがよく出てくるところは、ペットの犬を制限しています。例えば、池ノ平湿原では、犬をつれて入ることを禁止されていますが、これはカモシカにストレスを与えないためです。

ところで、カモシカウオッチングの
コツを伝授したいと思います。




 カモシカは、1日2回ほど反芻活動します。
 朝起きると、第一胃袋がいっぱいになるまでエサを食べます。
 そして第一胃袋がいっぱいになると、
 どこかに隠れて胃袋からエサを口に戻してモグモグと反芻しますが、
 こうなるとカモシカを見つけにくいんです。

 ですから、エサを食べにでかけている早朝か、
 もしくは、2回目のお食事タイムのお昼過ぎに
 カモシカに出会える可能性が高いのです。

 逆に、お昼頃(10時〜12時)に、見晴らしの良いところで、じっとしているカモシカを発見したら、反芻(はんすう)していると考えて良いですね。胃袋に入っているエサを口に戻してモグモグやっているんです。そのために休んでいるように見えるんです。となれば、次の日も、その次の日も、その場所で反芻している可能性が高いので、翌日は、高倍率の双眼鏡を準備して、風向きを考慮して、遠くからウオッチングしてもいいかもしれません。私は、8倍の双眼鏡を使っています。

 あと、カモシカは、縄張り性動物ですから、一度、発見した場所であるなら、もう一度、同じところで発見できる可能性が高いんです。ですから、カモシカのマーキングを見つけたらチャンスですね。カメラの準備をしておきましょう。それからカモシカのマーキングですが、浅間山麓・志賀高原・嬬恋村・北軽井沢なら簡単にみつかります。足のモモくらいの太さの木で、1周ぐるりと樹皮がはがれ、細かいギザギザのような跡がついていたら、もうカモシカの生活範囲です。
posted by ss at 21:43| カモシカ・かもしか百科 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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